【備忘録】amazarashi 「末法独唱 雨天決行」

 令和二年。思い返してみれば、最低最悪な一年だったと思います。さも当たり前のように続いていくと思っていた日常。そんな日常が次第に壊れ、いつしか街からは色が失われ。シャッターの閉まりきった表街道には、道を急ぐ私一人。しかし、それすらも序章に過ぎなかったと語れば、後世を生きる人に虚無感が伝わるだろうと思います。
 遣る瀬無さ。不甲斐なさ。日を生きるたびに、募りに募っていく負とすら呼べそうもない中身のない感情。しかしそれも仕方ないことだと偽りの諦念でごまかして、令和2年という時を消費していきました。
 そんな言葉にすらならないような感情を。令和2年という史上最低な一年を。今後決して忘れぬように、少なくとも生きた証を遺しておくように。amazarashiは私たちにこの曲を届けてくれたのだと思うんです。

 以下、2020年12月12日に行われたamazarashi 「末法独唱 雨天決行」の鑑賞備忘録です。ライブ内容、およびセットリストに対しての記載もありますので、ネタバレの存在をご留意いただけると幸いです。


 


セットリストは以下の通りでした。

  1. 夏を待っていました
  2. 未来になれなかったあの夜に
  3. あんたへ
  4. さよならごっこ
  5. 季節は次々死んでいく
  6. 無題
  7. ワンルーム叙事詩
  8. 拒否おろじー
  9. とどめを刺して
  10. クリスマス
  11. 曇天
  12. 令和二年
  13. 馬鹿騒ぎはもう終わり
  14. 夕立旅立ち
  15. 真っ白な世界
  16. スターライト 

  悠然と構える大仏を背に、アコースティックギター一つで秋田ひろむさんの独唱という形式でライブは進んでいきました。
 曲と曲の間には曲をモチーフにした語りが入れられ、直後に弾き語りされる曲はよりいっそうその世界が広がっていくかのようでした。

 大仏の前には多数のろうそく、灯篭が並べられ、そこには令和2年というものに対する様々な思いがつづられていて。どうしようもない、鬱屈とした言葉ばかりが火影に揺られ、焦げ付いて。本当最低な一年だった、と。その言葉こそ出てこなかったものの、思うところは皆同じだったのだと涙ながら共感させられました。

 それでも、鬱屈とした思いをそのままにしておくのではなく。
 令和二年という曲の後に、夕立旅立ちやスターライトといった曲が演奏されたのは、いつかこの最悪が終わることを皆が願っているのだと、そんな事実を改めて示してくれたんだと思うのです。